猫とバイクを愛する男のツーリング、登山、
車での観光記録と愛猫の紹介。

北海道、東北 上信、北関東 南関東 北アルプス 八ヶ岳、中央/南アルプス 西日本 登山装備紹介
その4



冬期の西農鳥は夏道で使うトラバースルートが滑落の危険が高いため、普通は直登ルートを通る。でもネットで調べても「岩場を直登」とだけしか書いて無く、いまいちどこを通っているか分からず不安だった。

実際、目の前に西農鳥の北壁を見ると岩場は確認できるが、「ホントにあそこ登れんの?」てなくらい急なルートしか見えなかった。

大きな不安を抱きつつ西農鳥へ登りだしたが、核心部に近づくにつれ、不思議と不安は無くなり、核心部に着くと案外あっさりそれらしいルートを見つけることができてスムーズに登ることができた。

伸二郎が通ったのは写真のピンク点線ルート。岩場はすごく急に見えるが、実際には足のかかりもしっかりしており、それほど難しくない。
岩場はこんな感じ。写真だと手がかり、足がかりが無い様に見えるが、実際にはしっかりしており、不安は少ない。
岩場を越えた後は雪壁だが、傾斜もそこまで強くなく、スムーズに登ることができると思う。伸二郎はピッケルを2本使っていたのでとても楽に登ることができた。遠くから眺めていた時のドキドキがウソのようだ。
振り返るとこんな感じ。下りで使うと「この先大丈夫か」と不安になりそうだ。冬期白峰三山縦走はやっぱり北岳側から農鳥に向かうルートが良いな。
核心部を過ぎるとあとはなだらかな尾根を行くだけ。楽勝だと思っていたが、風がかなり強く吹いており、気を許すと吹っ飛ばされそうなくらい。尾根から落ちんように耐えながら進み、核心部よりもむしろ緊張した。なかなか楽はさせてもらえないなぁ。
ようやく分岐まで来ると少し風が弱まる。分岐から少し行くと西農鳥の頂上。以前は頂上の碑を見た記憶が無いので新しく作ったのだろう。
西農鳥から東農鳥までも基本夏道。トラバースが多いが、雪は風に吹き飛ばされており雪の斜面という所は少なく、滑落の危険は少ない。細かなアップダウンに疲れながらも美しい富士に励まされて前へと進んだ。
ルート上、危険個所は少ないが、ここだけは少し気を使った。重い荷物を背負って乗り越える時はバランスを崩さぬ様に注意が必要かな。
疲れて何度も何度も立ち止まり、ようやく農鳥岳頂上到着。疲れた!これで無事"三"山登頂。嬉しい!
気温は低く、長居をする気にならなかったが、とても充実した気分だった。あとは無事に下るだけだ。今日の夜は風が強いらしいので樹林帯までは下っておきたい。できれば大門沢小屋まで行けたらいいな。

西農鳥の登りも不安だったが、農鳥から大門沢下降点までのルートも少し不安だった。一度も歩いたことが無いからだ。これまでのルートは雪があるとはいえ、夏道と同じルートなのでなんとくルートが分かる。でもこれからの道はいまいちルートがわからん。

とりあえずは先行者のアイゼンの跡を辿ると尾根上を行っているようだった。やがてうっすらと夏道の跡が見えてきた。ようやく安心して目の前の景色を楽しむことができるようになった。

尾根の先には塩見、荒川三山。ダイナミックで素敵な景色だ。
東には幾重にも連なる山塊の向うに端正な富士の姿。どこからでも絵になる山だ。
尾根上を進んでいくとやがて東側に窪地が見えてくる。ここから尾根を外れて窪地に向かって斜面を進んだ。あの窪地は風裏になるのでテン泊をするのに適している。あそこに泊まれば富士の横から登る朝日が美しいだろう。
ただ、今日は樹林帯まで下りたかったので窪地の横をそのまま通過して大門沢下降点へ。冬でも雪に埋まらない分かり易い目印だ。
大門沢へ下る道はトレースが少し残っており、それを頼りに進む。まずは写真中央やや左上のでっぱりをめざしトラバース。
そこから夏道は右に大きく曲がって下って行っているようだが、先行者のトレースを追っかけて行くと尾根のピークを進んでいるようだった。

冬はこっちなのかなと思ってトレースを追っかけて行くとかなり急なハイマツとダケカンバの道になってピッケル2本使うほど大変だった。うーん、夏道に行けば良かったな。。。
途中でいよいよ耐えられなくなり、右手に見えていた小さな沢に入り、ひたすらシリセードで下って行く。やっぱり冬はこれだな。
ルートを確認するのが面倒で確認しなかった為、夏道をいつまでたっても発見できなかった。まー、正面に見える本流っぽい沢まで下れば夏道に合流するでしょ。

シリセードで滑らないようになるとツボ足でラッセルしていたが、腰まで埋まるようになった目、ワカンを装着。以後ワカンラッセルでずっと沢沿いを下っていった。
そして思惑通り沢の本流手前で夏道と合流。ラッセルから解放されてハッピーだ。トレースがあるってなんて素晴らしいんだ!
まだ時間に余裕があったので大門沢小屋まで行くことに。大門沢小屋までの道は樹林帯を行くが、時折沢に面した巻き道があり、滑って沢に落ちないように注意が必要。

また小さな沢にかかる橋がとても簡素でアイゼンやワカンをつけて歩いていると踏み外したり、バランスを崩して落っこちないか気を使った。最後まで飽きが来ない道だな。。。
16:40かなりバテバテになりながらも大門沢小屋到着。後は樹林帯の下りだけだという安心感に包まれ、うれしかった。冬期小屋はガラス窓で明るく開放的だ。中には一人もおらず、貸切状態でとても快適だった。

外には正面に富士が見えるテン場があり、その立地の為か、テン場には1つテントがあった。この寒さだったらテントでも良いんだろうな。

水は小屋の左手(下の写真の左の小屋と右の小屋の間)にちょろちょとと出ていたが、伸二郎は気づかなかった為、脇を流れる沢まで汲みに行った。

稜線で冷たい飲み物を口にしていなかったのでとにかく冷たい水が美味しく感じてごくごく飲んだ。こんなに水が美味しく感じるのは初めてだ。水があるって素敵。
小屋には外にトイレ(ただし、垂れ流しっぽかったが。。。)もあって実に快適だった。しかも料金もただっぽいし。こんなに快適なのに他に人がいないなんて不思議だな。テントを張って寝たら暑すぎて寝れんかった。今回の登山はこんなんばっかだな。。。


その1 | その2 | その3 | その4 | その5
白峰三山 2013年12月 トップへ

登山-八ヶ岳、中央・南アルプスへ戻る登山トップへ戻る